シンガポールにおける医療機器市場の機会
世界保健機関(WHO)によると、シンガポールの医療制度は世界第6位で、世界で4番目に優れた医療インフラを持っています。 シンガポールはASEAN地域のヘルスケア・医療拠点として、高品質の医療インフラを備え、年間35万人以上の患者を集めています。政府はGDPの約4%を医療に費やしており、これは長期医療計画ではGDP8%に増加すると予想されています。
医療費は2015年の600万ドルから2020年には年間96億ドルに増加すると推定されています。ASEAN加盟国の中でも、シンガポールは、この地域で最も発展し、効率的な医療システムを有しています。
シンガポールには、人口のほぼ100%をカバーする国家医療保障制度があります。医療計画には、メディセイブ(Medisave)、メディシールドライフ (MediShield Life)、メディファンド(Medifund)、エルダーシールド(Eldershield)が含まれます。シンガポールはASEAN地域のヘルスケア・ハブであり、その定評を維持しようと努めています。医療産業への政府支出の一貫した増加に伴い、シンガポールは地元投資家と外国人投資家の両方にとって魅力的な市場であると言えます。
2021年からは政府主導の「ケアシールドライフ」へと制度を改め、被保険者の年齢も30歳以上の国民および永住権取得者に引き下げられる見込みです。
シンガポールの介護保険制度 制度名称 エルダーシールド
(2002年~)ケアシールドライフ (2021年~) 運用主体 民間保険会社
(NTUCインカム、グレートイースタン、アビバ)政府 被保険者 40歳以上の国民・永住権取得者
65歳になるまで納付30歳以上の国民・永住権取得者
67歳になるまで納付加入 任意(一旦自動加入するが、辞退可能) 強制(皆保険制度) 保障対象
(介護認定)基本的な日常行為
(食事・入浴・歩行・着替え・寝起き・トイレ)
のうち3項目以上を補助なしでできなくなった者食事、入浴、着替え、寝起き、トイレ、歩行 保障金額 最大300Sドル(約24,000円)/
月又は400Sドル(約32,000円)/月
(加入時期によって異なる)最大600Sドル(約48,000円)/月
(毎年2%ずつ支給額が増加)保障期間 最大5年間又は6年間
(加入時期によって異なる)給付対象となる状態である限り、生涯を通じて保障 保障内容 在宅介護サービス、リハビリ費用、医療費、家計費、介護付き老人ホームの入所料など 出典:統合ケア庁(Agency of Integrated Care:以下AIC)HP、一般財団法人自治体国際化協会「シンガポールの政策 福祉政策編」(平成31年3月)

シンガポールの医療機器市場
2019年7月のフィッチ・ソリューションズ・マクロ・リサーチのレポートによると、シンガポールの国内医療機器市場は、2018年から2023年の間に年平均8.4%の成長率(CAGR)を記録すると予測されており、医療機器市場の規模は2023年に約10億米ドルに到達すると見積もられています。
フィッチ・ソリューションズによると、2019年4月までの12か月間の医療機器輸入は8.8%増の42億米ドルに増加し、主に再輸出品で構成される輸出は6.8%増の75億シンガポールドルを記録しています。
シンガポールは世界トップクラスの医療技術企業を惹きつけ続けており、ベクトン・ディッキンソンやサーモフィッシャーサイエンティフィックなど25の多国籍企業(MNC)がシンガポールに研究開発施設を設立しているほか、シーメンスやメドトロニックなどシンガポールを地域本部として使用している他の多くの多国籍企業も研究開発施設を設立しています。

さらに、世界のマイクロアレイの約60%、世界の質量分析計の3分の1がシンガポールで製造されています。
60社以上の多国籍医療技術企業が、同国の強力なエンジニアリング能力および高品質を求め、ライフサイエンス機器からコンタクトレンズまで、高付加価値製品を製造しています。
さらにシンガポールには、医療技術企業が医療分野における新しいビジネスモデルを設計するのに役立つ研究とイノベーションの強力な基盤があり、また、ビッグデータを使用して患者中心のケアを提供しています。シンガポールには220以上のメドテックのスタートアップ企業や中小規模があり、発展途上のASEANおよびアジア市場に製品やサービスを輸出しています。
国際投資家にとってのシンガポールのもう一つの有利な要因は、アジアで最も強力な知的財産法にあります。2020年末には18000以上の医療機器とIVD(クラスB、C、D)が登録されています。
リスク・クラス | SMDRに登録されているデバイスの数 |
---|---|
医療機器(Class B) | 8172 |
医療機器(Class C) | 4569 |
医療機器(Class D) | 2136 |
IVD(Class B) | 2375 |
IVD(Class C) | 1237 |
IVD(Class D) | 307 |
合計 | 18796 |

シンガポールの薬事規制当局および医療機器に関する法律
医療機器および体外診断用医療機器(IVD)は、保健科学庁(HSA)の医療機器部門によって規制されています。HSAは、2007年Health Products Actおよびそれに続く法律を施行しています。

シンガポールの医療制度
シンガポールには、個人および雇用主からの税収、義務化された生命保険制度および中央積立基金(強制貯蓄制度)の控除で構成されるマルチペイアー・システムによる国民皆医療保険制度があります。
医療制度は、3Msとして知られる3つのプログラム(メディセイブ(Medisave)、メディシールドライフ (MediShield Life)、メディファンド(Medifund)を中心にしており、それぞれの寄与度に応じて異なるレベルの医療を提供しています。
2020年3月のフィッチ・ソリューションズの市場インサイトレポートによると、シンガポールのヘルスケア市場は2020年に220億米ドル、2029年までにはその2倍以上の510億米ドルに成長すると予測されています。
公的医療費と民間医療費の両方で構成されるシンガポールの医療費は、2020年にGDPの5.9%、2029年までに9%を占めると予測されています。これには2030年までに完成予定の新しい一般およびコミュニティ病院へのインフラ支出も含まれています。
他のASEANの国々と比較すると、シンガポールは一人当たりの医療費が最も多く、高齢化と人口動態の変化を考えると、GDPよりも速く増加すると予想されています。

メディカルツーリズム(医療観光)
メディカルツーリズム・インデックス(MTI)によると、シンガポールはカナダに次ぐ世界第2位の医療観光大国です。シンガポールは新しい医療技術とヘルスケア提供のショーケースとして機能し、2019年には50万人以上の医療観光客を誘致しました(内60%がインドネシアからの訪問客)。
米国がん研究協会、デューク大学、医療情報管理システム協会、JCIなどの著名な国際医療および研究機関が同国にプレゼンスを確立しています。

シンガポールの一般経済人口統計
ドイツに本拠地を置きグローバル情報のプラットフォームを提供するStatistaによると、2020年のシンガポールの人口は570万人を記録しています。
同社の統計によれば、2020年時点で65歳以上の人口は全体の約15.2%を占めていました。日本と並んで、シンガポールはアジアで最も急速に高齢化が進んでいる国のひとつと言えます。
今後20年以内に、シンガポールは「ハイパーエイジング」と呼ばれる現象を経験し、2030年までに人口の4分の1以上が65歳以上になるとの予測もあります。そのため、老人ホームやリハビリテーションセンターなど、高齢者のための施設を更に増やす必要があります。また高齢者医療やリハビリテーション医学の需要は、在宅ケアサービスの需要と同様に増加すると考えられます。
国際通貨基金(IMF)によると、シンガポールの国内総生産(GDP)成長率は2021年に5.0%、2025年に2.5%を記録すると予測されています。
2020年の失業率は4.38%で、COVID-19パンデミックの影響により、過去5年間の年間平均4%からわずかに増加しました。

御社のシンガポール国内代理店としての役割を果たします
医療機器および体外診断用医療機器は、シンガポールの医療機器および体外診断用医療機器の品質、安全性、有効性を監督・保護する保健科学庁(HAS)の下で規則正しく規制されています。
ASEAN地域の他の多くの国々と同様に、シンガポールに法人を持たない外国メーカー様は、シンガポール国内で医療機器を登録するために現地の代表者を任命する必要があります。
バイオメディカルグループは、シンガポール国内で御社の製品登録を行い、お客様の地域の代理店としての役割を担うことが可能です。弊社はシンガポール保健科学庁(HSA)の要求事項に基づき、ASEAN共通申請書類テンプレート (CSDT) に従って提出書類の準備し、申請書を提出、シンガポールでの医療機器の販売認可が得られるまで当局と緊密に連絡を取るお手伝いを致します。

医療機器のシンガポール国内代理人業務
シンガポールに拠点を持たない海外医療機器メーカーは、製品登録を行うために、「製品登録者(Registrant)」という国内の代表者を指定する必要があります。
製品登録者は、シンガポールに拠点を置く企業で、ACRAに登記されている必要があります。バイオメディカルグループは、御社の製品登録を管理する製品登録者として機能することが可能です。
さらに、製品登録者として、登録された医療機器に対する変更を通知する当局への申請書の提出、苦情処理、リコール等を含む市場安全性是正措置(FSCA)の取り扱いを含む、様々な市場流通後の活動を管理することができます。
シンガポールでの医療機器の製品登録支援
シンガポールの医療機器製品登録は、ASEAN共通申請書類テンプレート(CSDT)に従って提出します。CSDT形式に従った提出書類の準備を支援し、HSAのオンラインシステム、MEDICSを通じて申請書を提出し、シンガポールで製品を販売するマーケティング権限を得るまで当局との連絡を緊密に取り合います。
品質管理システム(QMS)の実施
シンガポールでは、販売店のライセンスには、メーカーのライセンス、輸入業者のライセンス、卸売業者のライセンスの3種類があります。
すべてのライセンスは、ISO 13485または医療機器の適正流通基準(GDPMD)認証など、適切な品質管理システムに準拠する必要があります。バイオメディカルグループは、薬事規制要件を満たす適切な品質管理システムの履行および維持を支援致します。
シンガポールにおける一般の薬事規制関連コンサルティング
バイオメディカルグループは、医療機器薬事関連情報の報告書作成の作成や、医療機器の分類や製品登録に関わるコンサルティングなど、一般的なコンサルティングサービスを提供しています。